病気に自分らしさまで奪わせない

白いカーテン こころのケアと生き方

病にあっても、こころまで病ませない

病院で見た、いまの現実

病院待合

最近、定期検診で大きな病院を訪れたときのことです。

以前は患者を「〜様」と呼んでいた時代もありましたが、今はプライバシーを守るために番号で呼ばれるようになっています。

……そう、売店でパンを選んでいた時に「まつむしさ〜ん!」と探されたのは、ほかでもない私です。

院内には「暴言・暴力・ハラスメント行為はお断りします」というアナウンスが繰り返し流れています。

10年前には考えられなかった光景。

人の心に余裕がなくなっているのかもしれませんね。

人としての品位を見た日

男性

以前の検診で、スーツ姿の男性が各部署に挨拶をしているのを見かけました。
かなり痩せていて、カッターシャツの首周りに余裕がありました。
聞けば、ホスピスへ移る前に「最後くらいはきちんとした姿で」と挨拶をされていたそうです。
看護師さんの目は真っ赤で、その場にいたわたしも胸を熱くしました。
病気の渦中にあっても、「人としての礼」を失わない。
その姿は今も心に残っています。

奪われないもの

水滴

事故や災害、病気――どんな理由で命が終わるとしても、

奪われないものがあるとすれば、それは「その人らしさ」だと思います。

夫もまた在宅療養の最期まで、医師や看護師と冗談を交わし、穏やかな笑顔を絶やしませんでした。

主治医が涙ぐむほど、周囲の人を明るく包んでいました。

病気に体を奪われても、心まで病むことはなかったのだろうと思います。

「わたしらしさ」を取り戻す

ガーベラ

長い主婦生活の中で、気づけば「自分らしさ」はどこかに置いてきていました。

夫や子どもに頼り、流れに身を任せてきたけれど、今は違います。

これからは「わたし」をもう一度、磨きなおす時期なのだと思っています。

その第一歩が「好きなものを思い出すこと」

最近のイチオシは漫画『女の園の星』。
くだらなさが最高で、読むたびに声を出して笑ってしまう。

病気も孤独も、一瞬忘れさせてくれる時間です。

病気に自分らしさまで奪わせない

朝日

病気はたしかに人生を変えます。

けれど、心まで奪われないように生きることは、自分で選べるはず。

誰にでも訪れる「もしもの時」、わたしはそうありたいと思うのです。

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