ひとりぼっちを感じる時

夕方、涼しくなってきた頃に散歩に出ると、街にぽつぽつと灯りがともりはじめます。
「みんな家族で、温かいお鍋でもつついてるんだろうな」
そう思って我が身と比べると、真っ暗な宇宙にひとりポイッと放り出されたような、さみしさを覚えることがあります。
(リドリー・スコット監督の映画『オデッセイ』には、宇宙にひとり取り残されても希望を失わない主人公が出てきます。)
あの灯りの向こう側

でも、ふと思うんです。
あの窓の灯りは、本当に温かいものなのかな、と。
もしかしたら、新卒の青年が理不尽なクレームをやり過ごして、やっと家路についてつけた灯りかもしれない。配偶者はいるけれど、何年も自分以外の人のところに行ったきりで、ただベッドに倒れ込んでいる人かもしれない。
そう思ってあらためて街を見ると、あのひとつひとつの灯りが、なんだかけなげに見えてきます。
いろいろあっても、なんとか今日も無事に終わろうとしている。そんな灯りに。
老夫婦を見かけるたびに

スーパーで仲良さそうな老夫婦を見かけると、あんな風になってみたかったな、と思う瞬間があります。
でもふと、立ち止まって考えます。
本当にそうかな。あの頃も同じ関係でいられたかな。お互い年を重ねて、自分の病気で精一杯になって、途方に暮れていたかもしれない。今が幸せそうに見えても、その先はわからないのですから。
夫の療養に全力で寄り添いましたが、望む結果にはなりませんでした。それでも、なんとか受け入れて、今のわたしがいます。
夫がくれたプレゼント

大事な人が見えなくなっても、一緒に過ごした時間は消えるわけじゃない。
それはまるで古酒のように、時間をかけてゆっくり熟成していきます。そしていつのまにか、さみしさをやわらげてくれるものになっていく。香りよく、からだの奥までじんわり、酔わせてくれるように。
それも、夫がくれたプレゼントだと思っています。



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