おひとりさまが病気になったとき1|卵巣腫瘍が発覚するまで

女性の腹痛 健康・暮らしとお金

婦人科の先生の手が、ある日ふと止まりました。

超音波のプローブを何度も動かしながら、画面をじっと見ています。そのとき直感しました。今日は違う、と。

ひとり暮らしで病気の疑いを告げられる。その後の一週間がどんなものか、経験した人でないと、なかなかわかってもらえません。

チョコレート嚢腫のこと

40代後半から、右卵巣に2センチのチョコレート嚢腫を指摘されていました。毎年、婦人科で超音波を撮ってもらいながら経過をみていました。閉経後に悪性化することがある——そのことを、頭のどこかに置きながら。

その年も、きっと変わらないだろうと思いながら診察室に入りました。

「昨年より約1センチ大きくなっています。3.3センチになっていますね。嚢腫の中に、何かが見えます。すぐにMRIのできる病院を紹介しますから、行ってきてください」

注意事項の書類を受け取り、病院をあとにしました。手の中に紙を持ちながら、頭の中はすでに白くなっていました。

一週間を、待つ

雨

検査まで一週間ありました。

夜、眠れずに台所で水を飲みました。冷蔵庫のモーター音だけが聞こえる、静かな台所で。ふと、夫がかつてどんな気持ちでいたか、考えていました。病気の検査結果を待ちながら、あのひとは何を思っていたのか。傍にいながら、あの頃はわかっていなかった。今になって、ようやく少しだけ。

「悪性化の可能性があります」

造影MRIの翌日、結果を聞きに行きました。

呼ばれたのは、他の患者さんがいなくなってからのことでした。そのとき、なんとなく察していました。

「悪性化の可能性があるので、大学病院に紹介します」

先生の口が動いていました。画像の説明をしているようでした。でも言葉が、うまく耳に届きませんでした。

気がついたら、「仕事はどうなりますか」「辞めたくないんです」と言っていました。自分でも、なぜそれを聞いたのかわかりません。怖かったのだと思います。病気そのものよりも、これまでの日常が崩れることの方が、そのときは怖かった。

先生はしばらく静かに聞いてから、

「今日は家族と相談して、どこで治療をするか決めてほしい。明日また来てください」

と言いました。

相談相手を、決めること

翌日クリニックに戻ると、先生の机の上にメモが置いてありました。昨日の今日で、複数の病院を調べておいてくれたのだと気づいたとき、少し泣きそうになりました。

「夫が亡くなった病院には、足がすくんで行けない」と話すと、希望の病院に直接電話をかけてくれ、2週間後の初診が決まりました。

兄に電話し、子どもに電話し、その日の夕方には上司にも話しました。友人には、元気になってから話すことにしました。それだけのことでしたが、少し楽になりました。

ここまでにかかった費用

ノート

少し落ち着いてから、この間にかかった費用を書き留めました。

項目 費用
定期検診 4,770円
造影MRI 9,670円
結果説明・紹介状(2回) 1,530円
交通費 840円
合計 16,810円

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